地球温暖化などの対策の一環として、建物の省エネ性能を向上させることを目的に、建築物省エネ法など住宅に関わる法律の一部が改正され、2025年4月に施行されます。原則として、住宅を含む全ての建物に省エネ基準への適合が義務付けられるとともに、建築確認において審査の一部を省略できる建築物の対象(一般的に「4号特例」と呼ばれる制度)が縮小されます。これによって家が建つまでの期間が長くなったり、工事費用が増えたりする可能性もあるため、設計・工事期間や費用などは事前に設計者や工務店とよく確認するようにしましょう。
新築する全ての建物が、省エネ基準適合義務の対象に
1.改正のポイント
新築する全ての建築に、省エネ基準への適合が義務付けられます
・これまで、省エネ基準への適合が義務付けられていたいたのは300㎡以上の非住宅のみでしたが、住宅や小規模な建物を含め、新築・増改築する全ての建物が対象となります
・省エネ基準が強化されます
・既存の建物も段階的に省エネ性能の向上が図られます
・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及が促進されます
2.改正の背景
2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を差引ゼロにする取り組み)の実現に向け、国内のエネルギー消費量の約3割を占める建築分野全体で省エネ性能向上のための取り組みが強化されます
3.改正による影響
・建築物のエネルギー消費量が大幅に削減されるため、電気代やガス代などのランニングコストが減少します
・建物の高断熱化によって室温が安定します。結露も抑制されるため、より快適な健康的な住環境が整えられます
・一方で、省エネ性能を高めるための対策を講じる必要があるため、工事の初期費用が増加したり、間取りの自由度が制限されたりする可能性があります
・建物から排出される温室効果ガスを削減し、2050年カーボンニュートラル実現に貢献します